露点計・湿度計の
種類
露点計・湿度計は、JISZ8806で定義されております。
露点計・湿度計についてを今回は、JISZ8806の記載内容を盛り込み、ご紹介いたします。
1 JISZ8806にて定義されている露点計・湿度計に関して
大きく分けて4種類定義されております。
1)水蒸気吸収法
水蒸気を吸収し、質量測定する方法で、大きく露点法・水蒸気圧法に分かれます。
ひょう量式、電解式(五酸化リン式)、カールフィッシャー湿度測定装置があります。
2)熱力学的平衡温度測定
水の蒸発・凝結は、空気の温度・湿度に依存することを用い測定する方法で、大きく露点法・水蒸気圧法に分かれます。
露点法には、定圧冷却式(鏡面冷却露点計,慽式露点計,水晶振動子露点計)、定圧加熱式(塩化リチウム露点計)、定積冷却式、定積脱湿式(ニューマティック・ブリッジ湿度計)、定積加湿式(加水露点計)があります。
水蒸気圧法には、通風乾湿計、乾湿計があります。
3)空気の物性測定
空気の物性(熱伝導率等)により、測定する方法です。
熱伝導率式、電磁波吸収法(紫外線湿度計、赤外線湿度計、マイクロ波湿度計)、超音波湿度計、濃淡電池(ジルコニア)式があります。
4)吸湿性物質の物性測定
感湿素子の電気的特性が吸湿・脱湿によって変化することを利用し、測定する方法です。
インピーダンス法(塩化リチウム電気抵抗式、高分子電気抵抗式、高分子電気容量式、セラミックス電気抵抗式、酸化アルミニウム皮膜)、伸長率法(伸縮式、バイメタル式)、限界電流式、色変化法(塩化コバルト湿度計)、弾性表面波湿度計があります。
2 現在主に使用されている露点計・湿度計
1)静電容量式露点計(酸化アルミニウム)
センサーの材質に酸化アルミニウムを使用しており、水分子量の電気容量を検知し測定しております。
詳しい原理の説明はこちらをご覧ください。
高分子センサーよりも感度が高く、微量水分を検知できますが、応答速が劣ります。用途としては、半導体、グローブボックス、電池製造など常時低露点環境で多く利用されております。
測定範囲は、-100 ℃dp~+20 ℃dpです。
2)静電容量式露点計(高分子)
センサーの材質に高分子を使用しています。原理は、酸化アルミニウムセンサーと変わりません。高分子式の静電容量式センサーは、周囲の気体中の水分に反応する誘電体の層をもつコンデンサです。この誘電体の層は、理想的には周囲の水分量と同じ比率で水分を吸収するので、これを利用して水分量を検知しています。長所としては、反応速度が速く長期安定性があることです。
しかし、-50 ℃dp以下の低露点領域での測定は酸化アルミニウム式と異なり感度が低いので実測と先読みを融合した計算値を出力します。そのため、自動校正(ケミカルパージ)機能がないと精度を維持できません。
測定範囲は、-60 ℃dp~+100 ℃dpです。
4)五酸化リン式水分計
五酸化リン式(電解式)水分分析の原理を利用しております。
(1)リン酸は電気分解によって、五酸化リン・水素および酸素を発生する。
4H3PO4→P2O5+6H2+3O2
(2)五酸化リンは水を吸収する。
2P2O5→6H2O+4H3PO4
センサーはガラスでできており、その周囲に白金電極(オプションでロジウム)が、らせん状に巻かれています。電極の間に塗布された酸素を発生します。
生成した五酸化リンが吸収する水の量と、生成した水素と酸素の量はつりあうため、ファラデーの法則(電気分解された物質の量は、流れた電気量に比例する)を基に、水分量を計測します。腐食に強いので、腐食性のガス中の水分量を測るのに向いています。また、昔からある露点計です。
5)TDLAS水分計
TDLASを採用しております。TDLASとは、Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopyの略で波長可変半導体レーザー吸収分光法と呼ばれます。半導体レーザーで発振したレーザー光を測定セル内に照射し、測定セル内を透過してきたレーザー光の強度を計測します。このTDLASにより、水分濃度変化を高速に応答でき、飽和水蒸気量を正確に監視できます。
また、欧米の天然ガスの引き取り価格決定に、早くて正確に水分濃度が測定できる露点計という事で、使用が増えております。測定範囲は、一般的には下限-60 ℃dpまで低い露点を測れます。
合わせて読みたい
露点とは? まずは、露点計の基礎から
気体を冷却していくとき結露、すなわち凝結が起こる温度。
これは結果的には、空気が水と平衡状態にあり飽和している温度です。・・・
湿度とは?
大気中に水蒸気の形で含まれる量を、比率で表した数値です。
同じ温度でも、湿度が違うと感じ方が違いますよね?
湿度が高い時は、暑く感じますよね。湿度にも、数種類の指標があります。・・・
設置の種類
水分、酸素計測は他の計測に比べ難しいといわれています。
精度の高い水分計測を行うためには、適切な配管材質・機器の選定が必要となります。また、測定気体中の汚れの程度と種類、気体の流量、圧力その他の要因に左右されるため、適切なサンプリングラインの選定が不可欠です。また、露点計、モニターの設置場所及びその方法は各ユーザー様で異なります。・・・
もいすちゅーの水分講座
-
- 露点・湿度について考える
-
- 計測器について
-
- 校正について
-
- 測定系を構築しよう
-
- 規格について