出力
1 出力とはなにか
計測器のカタログを見ると仕様欄にアナログ出力、デジタル出力や警報(アラーム)出力等記載があります。これらはどういうものでしょう?
出力とは、人を介さずに他の機械に情報を伝達する機能です。ご家庭で使用する計測機器は温度計やものさしなど人の目で見て用をたすものが多いです。一方、産業界ではリアルタイムで変化する測定値を記録したり、測定値によってアラームを鳴らしたり、表示の読み取りだけでは不十分な場合が多々あり、そのような場合に測定値等の情報を出力して、他の機器に情報を伝える必要があります。
では出力の種類(アナログ出力、デジタル出力、アラーム出力)を説明します。
2 アナログ出力
アナログ出力は主に測定値の変化を記録する場合に使用します。
シーケンサのような制御機器を用いて、機器を制御する場合にも使用します。
出力の種類は、主なものとして、電気の要素の電流、電圧、抵抗の3種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
- 電流出力:もっとも一般的な出力です。長距離伝送に向いています。
種類は出力範囲で分類され、主なものとして4-20 mA、0-20 mAがあり、日本では0 mAを他の信号に使用することがあるため、4-20 mAが一般的です。 - 電圧出力:電圧降下のため、長距離伝送の点で電流出力に劣ります。
距離が短ければ、記録計は電圧出力対応のものが多いので、使い勝手は良いです。主な種類は1-5 V、0-5 Vとあり、日本では上記同様の理由により1-5 Vが一般的です。 - 抵抗出力:計測器用の電源が必要でない計測器、例えば熱電対、白金 測温抵抗体(PT100)など温度計類に用いられます。何れも温度変化で抵抗が変化する機器で、PT100は0 ℃で抵抗100 Ωとなるためその呼び名がついています。
出力範囲は例えば4-20 mA出力なら4 mAが測定最下限、20 mAが測定最上限に割り振られ、その間は測定値と電流値がリニア(直線比例)の関係になります。 右図に代表的な使用例の構成図を2例あげます。
3 デジタル出力
デジタル出力もアナログ出力と同様に主に測定値の変化を記録したい場合に使用します。デジタル通信は通信規格としてRS232やRS485を用います。アナログ出力との違いは、システムを構築すれば、多点を1か所(PC等)に取り込めることです。近年はModbusという通信プロトコル(PCと機器を通信させるための言語のようなもの)を用いた計測システムの構築が産業界に広がっています。下の写真はMBW社のT12という12ポートの変換器です。これを用いれば一度に温度と湿度(または露点、PPM等)を12個測定できます。
4 アラーム(警報)出力
アラーム出力はその名の通り、機械に異常があったり、測定値が許容範囲を超えた場合に、アラームを鳴らすための出力です。アナログ/デジタル出力は測定値に対応した電流や電圧を出力しましたが、アラーム出力はスイッチのON,OFFを出力します。下に簡単なアラームの配線図を記載します。(電源配線は省略)
計測器にはアラーム出力がない場合もあるので、計測器に表示器を接続して、表示器の内蔵アラームを使用しています。
上図の例はアラームを鳴らしたいときにスイッチがONになっていますね。これとは逆にアラームを鳴らさない正常な状態でスイッチがONになるような使い方もあります。正常運転時に運転中のランプをつけておきたい場合などです。
前者のアラーム構造をノルマルオープン(NO)、後者をノルマルクローズ(NC)と呼びます。
これには別の言い方もあり、○接点という言い方も頻繁に使われます。a接点、b接点、c接点と3種類あり、それぞれ、NO,NC,NOとNCの両方を組み合わせたものです。他にもさまざまな言い方がありますので、下表にまとめます。
アラームの構造 | NO(ノルマルオープン) | NC(ノルマルクローズ) | ー |
---|---|---|---|
接点 | a接点 | b接点 | c接点 |
その他の言い方 | メーク接点 常開形 |
メーク接点 常開形 |
トランスファ接点 切替型 |
JIS記号 |
どの範囲が“ノルマル”になるかは、アラームの設定の仕方によって異なります。
例えば、アラームを温度-20℃以下で発報したい場合は、-20℃以下がアラーム発砲域で-20℃以上が“ノルマル”になります。また、50℃以上で発砲したい場合は50℃以下が“ノルマル”で50℃以上がアラーム発砲域となります。
もいすちゅーの水分講座
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