工業ガス

工業ガス(窒素・酸素・アルゴン・水素等)の露点・酸素濃度計測

工業ガスをイメージする画像

工業ガスは製造現場で製造、品質改善など多くの場面で使用されます。
深冷分離プラントにおける窒素・酸素・アルゴンをはじめとし、炭酸ガス、水素、ヘリウムなど様々なガスが工業生産されています。工業ガスは鉄鋼、農業、ガラス製造、化学品製造、半導体・エレクトロニクス・自動車産業、造船、建機、紙、食品・飲料、航空宇宙、医療、電力、研究用途など幅広い分野で使用されます。工業ガスの純度管理には、多くの場合露点(水分量)、酸素濃度を不純物として測定し、ガス純度を決定します。通常はPPMレベルでの管理(露点で言えば-70 ℃dpなど)ですが、高純度ガスの場合PPBでの管理を行います。 露点測定の場合、簡易的に静電容量式露点計で計測することが一般的ですが、精度を要する場合は鏡面冷却式(ミラー式)露点計、TDLAS(波長可変ダイオードレーザー)が使用されます。また腐食性ガスの場合腐食性ガス中水分計(五酸化リン式)が使用されます。酸素濃度測定の場合、ガスによりジルコニア式・ガルバニ電池式酸素濃度計が使用されます。

主な工業ガス(産業ガス)活用について

窒素ガス(元素記号:N2)について

最も広く使われ一般的な気体です。 私たちの吸っている空気の約78%が窒素で構成されています。 窒素は深冷分離プラントで大気を冷却し酸素とアルゴンの沸点差を利用して取り出します。 また離膜式窒素ガス発生装置でも作りだせますが深冷分離で生成された物より純度を劣ります。 ほとんどの工場で使用されておりボンベや液化して運ばれ気化して使用されます。

●主な用途
・半導体製造装置内のパージガス
・食品の酸化防止ガス
・金属熱処理の雰囲気ガス
・タイヤの充填ガス
・電池製造の過程でのパージガス
・化学工場でのパージガス
・キャリアガス

アルゴンガス(元素記号:Ar)について

アルゴンガスは大気中3番目に多く含まれるガスで希ガスの一つです。 無色・無臭のガスでアルゴンの由来はギリシャ語と言われています。 N2と同様科学反応をほとんど起こさないとされ多くの分野で使用されます。 生成は深冷分離プラントで大気中から取り出されます。 窒素ガスに比べ生成される量が少なく単価が高いガスになります。 産業用としては不活性ガスとして鉄鋼、溶接、シリコン製造、研究用パージガスとして使用されることが多いです。

●主な用途
・溶接ガス
・半導体ガス
・工業炉パージガス
・化学実験
・キャリアガス
・蛍光灯、電球、真空管の封入ガス
・食品の酸化防止封入ガス

酸素(元素記号:O2)について

酸素は無色、無味、無臭の気体で大気中に20.9%含まれるガスであり多くの生物に不可欠な気体です。
余談ですが宇宙では水素、ヘリウム次いで三番目に質量を占めています。
生成方法は深冷分離プラントで大気中から取り出されます。PAS分離法や水電気分解等の方法もあります。
昨今では医療分野での需要が伸びており、また主に燃焼行程で使用されることが多いです。
運搬方法はボンベや液化して搬送されます。

●主な用途
・高炉向け燃焼ガス
・医療向けガス
・鋼材の溶接切断
・酸化反応工程ガス

炭酸ガス(元素記号:CO2)について

炭酸ガスは一般的に言う二酸化炭素ガスCO2です。 二酸化炭素と言うと地球温暖化など悪いイメージ先に立ちますが私たちの身近に存在し不可欠な気体です。
不燃性で空気より重く水に溶けやすい性質を持ちます。
気体中に400ppm程度存在します。身近なところでは炭酸飲料、ドライアイスなどに使用されること多いです。
生産方法としてはアンモニア合成や製鉄所での副産物として生成され液化して運搬されます。

●主な用途
・炭酸飲料の製造
・ドライアイス製造
・ハウス栽培の成長促進
・溶接ガス
・消火剤
・フロンの代替としての冷媒
・医薬

水素ガス(元素記号:H2)について

大気中ではほとんど存在しませんが宇宙では約90%と多く水素が存在します。
また人の体にも多く水素が存在します。 大気中には0.5ppm程度しか存在しないので大気中から取り出すことは難しいガスになります。水素と言うと身近では水素自動車、燃料電池などが思い浮かびます。最近では水分解して水素を生産する技術が多くの企業で研究されています。 今後水素社会になっていくと言われておりCO2を排出しない究極の燃料と言われています。

●主な用途
・金属熱処理ガス
・燃料電池
・水素自動車
・半導体製造
・太陽電池製造
・ロケットの燃料
・キャリアガス

ヘリウムガス(元素記号:He)について

水素についで軽い気体として一般的です。 一般的には風船や気球などに使用されるガスと認識されている方が多いのではないでしょうか。 ヘリウムガスは大気中にほとんど含まれていなく天然ガスとして採掘され生成されます。 日本では生成されているのは僅かで多くを海外から輸入しています。 また分子量が小さいためリークしやすいためリーク検査などに使用されることもあります。 輸送は他のガス同様にボンベや液化して搬送されます。

●主な用途
・真空機器・配管のリークチェック
・溶接ガス
・原子炉の冷却ガス
・気球用
・キャリアガス

工業ガス(産業ガス)が使用される主な水分計測分野(用途)まとめ

多くの分野で水分測定が必要とされ実施されております。測定している水分量で”現在使用されている分野や”近年研究開発されている分野を 以下に記載しました。

微量水分(露点-100℃~-76℃)
ハイバリア材料のバリア性能評価、半導体製造、ジェット燃料

低水分(露点-76℃~-10℃)
金属熱処理、二次電池製造(リチウム、全個体電池)、水素ステーション、食品の真空凍結乾燥、プラスチック加工、フィルム製造、液晶(膜)、製薬

中水分(露点-10℃~+25℃)
気象、印刷、空調管理。乾燥、原子炉漏洩率試験

高水分(露点+25℃~+100℃)
食品加工、医療、機能性繊維、食品加工、燃料電池、電気電子部品の環境試験、自動車の燃費向上・排ガス低減技術(フローセンサー)

上記のように工業ガス(産業ガス)は身近なところで多く使われており現代生活には欠かせない産業の一助となっています。 テクネ計測では産業ガス(産業ガス)の純度管理のための露点計、湿度計、酸素濃度計など各種計測機器を取り揃えています。 今後の産業発展やカーボンニュートラル、SDGsに取り組んでいきます。 株式会社テクネ計測はかわさきSDGsゴールドパートナーです。

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