露点とは?まずは、露点計の基礎から
気体を冷却していくとき結露、すなわち凝結が起こる温度。
露点計とは、露点を計る計測器です。この露点とはそもそも何なのでしょうか。
露点計、水分計、湿度計の区別を理解するため、まずは露点に関して説明します。
露点を一言で言えば、気体を冷却していくとき結露、つまり凝結が起こる温度です。
これは結果的には、ミスの場合、空気が水と平衡状態にあり飽和している温度です。
皆さんご存知のように、物質は温度・圧力により気体・液体・固体の三態のいずれかの状態で存在するものがほとんどです。
水分にもそのような三態がありますが、あまりに我々の日常に密接なので、それぞれ水蒸気・水・氷という名前があります。
よって水の露点とは、水蒸気が水滴になる温度、となります。
露点は、日常だけではなく、工業分野(塗装、半導体、電池、電力、鉄道、製薬、ガス精製、再生エネルギー、化学プラント、農業、食品、エアー、工業ガス、鉄鋼、空調、熱処理など)にも重要な要因になっております。
お客様の目の前の空気を冷やした時、10℃で結露が起きたとします。その場合、「露点温度10℃の空気」という言い方をします。
写真の様な場合、10℃以下のビールをグラスに注いだため、グラス表面が10℃以下に冷やされ、結露がおきるわけです。
空調や、気象観測の分野ではこの程度ですが、工業や半導体等の分野では「露点温度-80℃の窒素、もしくはドライエアー」等の場合もあります。その場合、-80℃まで温度を下げた場合に結露が起きる、そのぐらい水分量の少ない窒素、もしくはドライエアーである、ということになります。
露点-80℃というと、とても冷たい空気の様に思えるかもしれませんが、温度は環境に依存しますので、例えば気温25℃であれば、温度25℃で⁻80℃の露点の気体、ということになります。
また、逆に水分が多い場合、「露点温度+90℃」といった場合もあり、燃料電池や、環境試験、恒温槽等で用いられます。
同じ気体中の水分量を表す単位としては相対湿度(天気予報などで用いられる単位です)を目にすることが多いと思いますが、「相対」と言うだけあって、温度に影響を受ける、「割合」を表す単位です。対して露点は温度に影響を受けない、「絶対水分量」を表す単位です。
つまり露点とは
露点計(露点温度計)により直接測定を行なうことができれば、それで分かりますが、露点計がない場合、温度と相対湿度からも求めることができます。
気体の温度からその温度における飽和水蒸気圧を求めます。その飽和水蒸気圧に対し相対湿度を掛け、気体中の水分の水蒸気圧を求めます。そしてその水蒸気圧が飽和水蒸気圧である温度を求めれば、その温度が露点温度となります。
逆に、温度と相対湿度から水蒸気圧(湿り空気中の水蒸気分圧)を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることにより得ることができます。
逆に、水蒸気圧(湿り空気中の水蒸気分圧)を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることにより得ることができます。
露点と温度と相対湿度の関係図は右図に示します。
飽和水蒸気
また、水蒸気を含む空気は、露点まで温度が下がると、水蒸気の凝結が始まります。さらに気温が下がるとその気温の飽和水蒸気量以上の水蒸気は水となります。下の図で、Aという気温の空気に青点線の水蒸気が含まれていたとします。この空気の温度を下げていくと、水蒸気が飽和に達する気温をBとし、これが露点となります。さらに気温をCまで下げると飽和水蒸気量以上の水蒸気(青実線)は水蒸気のままではいられないので水となります。
露点に関するよくある質問
1. 何で天気予報では露点ではなく湿度が使われるの?
そうですね。天気予報ではまずは何と言っても気温が何度から始まり、晴れ・曇り・雨、降水確率が何%か、
その後季節によっては花粉量・熱中症注意予報・台風の進路、最後に湿度が出てきたり、出てこなかったりですね。
ここで言う湿度とは、相対湿度です。相対、という言葉の通り、ある温度の飽和水分量に対する水分の比率を示しますので、水分量が一定でも、温度が変われば湿度も変わってしまいます。
ちょっと使いにくいものに思えるかもしれませんが、ふだんの生活には露点よりも使いやすいのです。
その一つは不快指数です。不快指数は一般的に乾湿球計の乾球温度(気温)と湿球温度から決められますが、この2つの相関性は相対湿度に変換できますので、温度と相対湿度にて決められるという式が一般的に使用されています。
「今日は気温が〇℃で湿度が〇%だから不快そうだね」と感覚的にもなんとなくわかりますよね。
もう1つは洗濯物が乾き易いかの指標です。こちらも絶対的な水分量よりも相対湿度の方を使用します。じめじめしていたら(湿度が高ければ)乾きにくいというのは感覚的にも分かりやすいですよね。
日本気象協会のサイトを見てみたら、これら以外にも、汗かき指数、アイス指数、さらにはビール指数なんていうのもあるみたいです。
2.工場で露点が使われるのは何でですか?
工場では露点だけでなく、相対湿度・絶対湿度(g/m3)・体積水分量(ppmv)・乾湿球温度など、目的によっていろいろ使われます。
露点が元々使用されていたのは、結露が発生するかしないかというところです。例えば、北海道で冬場マイナス10℃になる場所では、
圧縮空気の中の露点がマイナス10℃より低くなければ水滴となり結露してしまいます。結露は様々な機械にとり大敵です。さびなどの原因になりますので、結露を回避することは重要です。
結露しそうなのかどうかを見るのに「気温がマイナス10℃だけど露点はマイナス20℃だがら10℃余裕があるね」などと概念的にわかりやすいですよね。この使われ方をすることから、露点計を結露計なんて呼ぶ方もいます。
その後、露点を様々な領域で使用することになりましたが、PPMではなく露点が広く使われるようになった理由としては、以下のようなものがあるかと思います。
+乾燥ドライヤーの能力が向上し、半導体・ディスプレー業界など高純度(低水分)の乾燥空気を必要とした際、圧縮空気の結露を計るところから範囲が広がった。
+水分計を必要とした当時、簡易に測定できるものが露点計しかなかった。
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