電力
露点計によるエアー除湿管理、水分・SF6純度計、オイル中水分計による絶縁管理
現代社会で欠かすことのできない存在である電気。
しかし電気は大量に貯蔵しておくことが出来ないため、消費する分だけ常に生産を行う必要があります。
発電所では現在、火力・水力・原子力・風力・太陽光など様々な方法で発電がおこなわれていますが、
その多くは水蒸気などによりタービンを回して発生する電気エネルギーを取り出すという点で共通しています。
これらの中で風力・太陽光などの再生可能エネルギーは供給資源の枯渇という心配はないものの、発電能力が安定しない、
発電量が小さいといった課題があり、現状ではまだ火力・水力・原子力といった従来型の発電方式が供給電力の大半を賄っています。
電力の供給は大きく発電・送配電・小売りの3つに分けられ、経路としては発電所→送電線→変電所→配電線を経て需要先に供給されています。
実際に発電された電気(電力)を発電所から需要先に届けるには上記のとおり変電所を経由します。
電圧を高くして送電すると途中で熱となって逃げる電気エネルギーの損失を少なくできるので、
発電所で発電された電気は非常に高い電圧で送られるのですが、それを需要先での利用に適した電圧にするため変電所で段階的に降圧していく必要があるためです。
変電所は電圧を調整する変圧器や故障の際などに自動的に電気を切る遮断器、落雷の際に雷の電気を地面に逃がす避雷器などの設備から構成されています。
そして変電所から配電線を経て、小売部門が契約した需要先へ必要とする電力が供給されているのです。
電力利用のこれまで
現代文明の礎といえる電気はどのようにして発見・利用されるようになったのでしょうか。
電気の発見は紀元前600年頃にギリシャの哲学者ターレスが、琥珀を布でこすった際に糸くずなどが吸い寄せられることに気がついたことが人類最初と言われていますが、
実はターレス自身はこれを磁気の発生によるものと考えており、実際にこれが電気(静電気)とわかったのは16世紀になってからのことでした。
その後、19世紀にイギリスのファラデーによって電線のまわりで磁気が変化すると電線に電流が流れる「電磁誘導現象」が発見されたことが電気技術発展の基礎となりました。
実際にはこれ以前に静電気学の原理を使った静電発電機が発明されていますが、
これは発生する電力量が小さく、まだ電気学という学問における実験器具にすぎませんでした。
電力技術の基礎となったのは1869年にグラムによって発明されたダイナモ式の発電機で、多数のアーク灯を同時に点灯させることができました。
これをもとに1871年に開発された、発生電圧を約200ボルトに高めた実用モデルを皮切りに改良を重ね、電気を一般家庭や工場などへ供給する電気事業がスタートしたのです。
その後、エジソンの直流発電機とニコラ・テスラの交流発電機の主導権争い(電流戦争)を経て現在では発電・送電ともに交流方式が主流となっております。
日本では江戸時代に平賀源内がオランダ製の摩擦起電器を復元したエレキテルを見世物として紹介したのが最古の電気関係の機械でした。
その後、明治時代の文明開化の象徴の一つとして日本初の電灯(アーク灯)が灯され、日本で最初の火力発電所が東京の日本橋に完成しました。
この当時の電力は灯りにだけ使用されており、一般商用の発電所は1891年に京都市に建設された蹴上発電所が最初となります。
現在では10社の一般電気事業者をはじめとして数多くの電気事業者が日本の電力供給を担っています。
電力業界への用途
発電所
日本のエネルギー自給率は8%にすぎず、火力・水力・原子力など様々な発電方式を組み合わせることで安定した電力供給を実現しています。
近年では風力や太陽光、バイオマス等新エネルギー発電も実用化されています。
発電方式によって露点計や硫化水素計などの測定器が必要となりますが、火力発電を例にすると、
石油や石炭などをボイラーで燃焼させて発生した蒸気を使ってタービンを回して発電機を動かすので、
ボイラーの燃焼効率を担保するために供給されるエアーの管理が必要となります。この管理に露点計が使用されるのです。
変電所
電力流通の拠点となる変電所では変圧器や遮断機、開閉器などによって適切な電圧に降下させたり各系統の接続や開閉を行うことで、電力の流れを制御しています。
これらの装置類には高い絶縁性が求められるため、絶縁体として絶縁油やSF6(六フッ化硫黄)ガスなどが用いられています。
また、地中送電線等にも絶縁体として油を用いる場合があります。
●絶縁油
絶縁油は特に変圧器で古くから大量に使用されており、絶縁材料として重要なもののひとつで、
現在では日本工業規格にて詳細に規格化されており、特に酸化安定性があること、含水率が低いことが重要です。
一般には流動点が低く精製度が高い鉱油(1種)が使用されますが、他にもアルキルベンゼン(2種)、
ボリブデン(3種)などJIS C 2320において分類されていた7種に加え、新しいJIS規格ではさらに6種が加わっています。
どの絶縁油についても言えることですが、絶縁破壊電圧などの電気特性は水分や不純物の混入によって著しく低下するため、取り扱いには細心の注意が必要となります。
絶縁油の管理はコストと時間をかけて専門の業者へ依頼をしたり、試薬による容量滴定方法あるいは電気分解による電量滴定方法による試験が一般的です。
しかし、もっと手軽に管理する方法はないのでしょうか。
弊社取扱いの油中水分計を用いれば、お手元にサンプル油を用意するだけで10分もあれば
簡単に水分含有量を確認することができます。
ぜひ弊社製品情報のページよりオイル中水分計のページをご覧下さい。
ご興味を持って頂ける製品がきっとあります。
●SF6(六フッ化硫黄)ガス
SF6(六フッ化硫黄)ガスは、人体に対して安全かつ化学的に安定しているうえ、
特に絶縁物として優れた性能をもっていることからガス遮断機をはじめとする電気機器に広く用いられています。
しかし1997年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約国会議で採択された【気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書】(1997年12月11日採択)において、6種類の温室効果ガス「二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N20)ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)」の合計削減量が定められ、その目標は1990年と比較して少なくとも5%を削減することとなりました。
一般に温室効果ガスの削減というと上記6種のうち特に二酸化炭素が有名ですが、
SF6は100年間の地球温暖化係数が二酸化炭素の22,800倍と非常に大きく、かつ大気中の寿命が3,200年と長いうえに放出原因のほぼ全てが人為的なものと考えられていることから決し
て無視できるものではありません。
そのため、ここ数年世界各国の電力会社やそのサービス会社および遮断機メーカーなどでは製造・メンテナンス時におけるSF6ガスの大気放出を減らすための努力が行われており、
いかにこれらの機器からの大気放出を防ぐかということは喫緊の課題といってよいでしょう。
従来は大気放出を防ぐ手段として回収袋に回収し、破壊処理を行うのが一般的であり少なくないコストがかかっておりました。
弊社で取り扱っているMBW973-SF6露点・純度計は極めて簡単な操作と測定時時間わずか10分、かつ内部のシリンダーにガスを蓄積し測定後はポンプで供給元へ戻すため、大気放出することなく運用することができます。
ぜひ弊社製品情報のページより鏡面式露点計のページをご覧下さい。
世界最高峰の計測器があなたをお待ちしております。
まとめ
以上のようにテクネ計測では電力設備向けに様々な計測器をご用意しております。導入実績も豊富にあるこれらの機器をご提案させて頂くことでお客様のご要望にお応えできればと考えております。