エアー
圧縮空気中のドレイン管理・露点管理に露点計の使用
圧縮空気とは
空気を加圧することで体積を縮小させたものを圧縮空気と呼びます。空気は主に窒素と酸素で構成されており、圧縮性があります。
空気を圧縮すると元に戻ろうとするエネルギーが発生します。この圧縮空気のエネルギーを利用して動力、輸送、塗装、ブローなど様々利用されています。ほとんどの生産工場で利用され工場は稼働しています。圧縮空気を利用する理由として、安価に作れる、使いやすい、調整が容易、エネルギーを貯蔵できる、汚染や火災の心配が少ないなどがあげられます。工場で利用される圧縮空気はコンプレサーによって作られます。
このコンプレッサーで作られた圧縮空気が冷える過程で発生するドレンは動力や品質管理に影響を与えます。
圧縮空気にドレンが発生する理由とドレンが与える影響
なぜ圧縮空気にはドレンが発生するのでしょうか。
コンプレッサーは空気を吸い込む際に、空気中の水蒸気も吸い込みます。
そのため圧縮空気には水分が含まれることになります。この時、断熱圧縮が発生し空気の温度が上昇して、飽和した水分がドレンとして発生します。
また、温度上昇した空気は、配管内やタンク内で冷やされ、結露しドレンが発生します。
この配管内やタンクでドレンが発生すると、ドレンにより圧力損失が生じエネルギーのロスになります。
また、エアー末端のエアーガンから水が噴出する場合があります。単に機械のエアーシリンダー、電磁弁等に影響を与え、トラブルが発生することがあります。
塗装作業では塗装面にドレンが付着することで、塗装ムラやハジキといった塗装不良が発生し、塗装作業を一からやり直さなければならないケースもあります。食品関係ではドレンにより菌やカビが発生します。圧縮空気を活用するうえで、ドレンを除去することは、最適な動力の確保や品質管理に必要不可欠なのです。このドレンによるトラブルを起こさないために、エアードライヤーを設置します。
エアードライヤーの種類
エアードライヤーには大きく分けて3つの方式があり冷凍式・膜式・吸着式と種類があります。
乾燥能力やドレンの有無、生産コストの違いがあるため適切なエアードライヤーを選択することが重要です。
それでは3つの方式のエアードライヤーについて詳しく見ていきます。
●冷凍式エアードライヤー
最もポピュラーなエアードライヤーで冷媒ガスを循環させ、熱交換部で圧縮空気を冷却し相対湿度を100%にさせ水蒸気を結露させることで水分を取り除きます。
除去した水分はオートドレンより自動排出されます。
一般工場のエアーとして用いられて大容量の除湿に適して製造コスト、生産コストが安く済みます。乾燥能力は高くなく大気圧下露点は最大約-20℃まで乾燥させることができます。
冷凍式トライヤーに対しては露点計EE354、温湿度計EE23が使われます。
●膜式エアードライヤー
冷凍式エアードライヤーよりも乾燥した空気を送り出すエアードライヤーです。
膜式エアードライヤーは、水蒸気を取り除くために「酸素や窒素を非常に透過しにくく、水蒸気は透過しやすい」高分子材料を使用しています。
この材料の中空糸膜フィルターに圧縮空気を通すと、水蒸気が膜の外に排出され、出口側には乾燥した空気が得られます。
そのためドレンが生成されません。ただ、圧縮空気を捨てながら除湿水分を気化蒸発させているので圧縮空気の量は減ってしまいます。
大気圧下露点は最大-60℃程度まで乾燥させることができます。
膜式エアードライヤーには露点計TE-660が使用されます。
●吸着式エアードライヤー
最も圧縮空気を乾燥させる方式で、吸着材を容器に詰めて、水分を吸着させるエアードライヤーです。
吸着材(シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト)の周囲の空気が高湿度であれば水蒸気を吸収する性質を利用して、
高湿度の圧縮空気中の水分を吸着材で吸着し、除湿を行います。水分を吸着した吸湿剤は加熱やブローを行い、
水分を脱着させることで再度除湿を行うことができます。吸着式は一般的にこの再生工程が必要なため、
再生を行う塔と除湿を行う塔の最低2つが必要となるため2塔式ドライヤーと呼ばれます。
これは、大気圧露点-60℃以下まで乾燥させることができます。
製造コスト、生産コストが高いため低露点の必要な部分だけ小容量の吸着式を用いるといった使い方が一般的です。
吸着式エアードライヤーにはTK-100が使用されます。
圧縮空気の露点管理
コンプレッサーで生産した圧縮空気はエアードライヤーを通して乾燥させます。
エアードライヤーが故障すると湿った空気が流れ配管内やタンク内で冷やされ、結露したドレンにより動力や品質管理に影響を与えます。
エアードライヤーは自分で故障を教えてくれないので露点計を使用設置し管理することが重要です。
露点温度が通常よりも高くなったらそれはエアードライヤーの故障を示します。
また、JIS8392では、圧縮空気システム上のあらゆる場所における粒子、水分及びオイルに関する圧縮空気の清浄等級について規定されています。
圧縮空気中の3つの主要な汚染物質は、固体粒子、水及びオイルです。これらは圧縮空気の清浄等級によって分類されます。
これらの圧縮空気の清浄等級は、上記の汚染物質の各濃度を範囲で区分し、その区分ごとに付けた指標を清浄等級とされています。
湿度及び水分の圧縮空気の清浄の等級も決められている為、圧縮空気の露点測定が重要です。
等級 | 粒径d(μm)に対応した1m3あたりの最大粒子数 | ||
---|---|---|---|
0.1<d≦0.5 | 0.5<d≦1.0 | 1.0<d≦5.0 | |
0 | 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が指定する。 | ||
1 | ≦20000 | ≦400 | ≦10 |
2 | ≦400000 | ≦6000 | ≦100 |
3 | 規定しない | ≦90000 | ≦1000 |
4 | 規定しない | 規定しない | ≦10000 |
5 | 規定しない | 規定しない | |
等級 | 質量濃度Cp(mg/m3) | ||
6 | 0<Cp≦5 | ||
7 | 5<Cp≦10 | ||
X | Cp>10 |
等級 | 圧力露点℃ |
---|---|
0 | 等級1より厳しい条件で、使用者又は納入業者が指定する。 |
1 | ≦-70 |
2 | ≦-40 |
3 | ≦-20 |
4 | ≦+3 |
5 | ≦+7 |
6 | ≦+10 |
等級 | 水分濃度Cw(g/m3) |
7 | Cw≦0.5 |
8 | 0.5<Cw≦5 |
9 | 5<Cw≦10 |
X | Cw>10 |
等級 | オイル総濃度mg/m3 (液状オイル、オイルミスト及びオイル蒸気) |
---|---|
0 | 等級1より厳しい条件で、 使用者または納入業者が指定する。 |
1 | ≦0.01 |
2 | ≦0.1 |
3 | ≦1 |
4 | ≦5 |
X | >5 |
まとめ
テクネ計測では上述の通り、冷凍式トライヤーには露点計EE354、膜式エアードライヤーには露点計TE-660、吸着式エアードライヤーには
露点計TK-100など、圧縮空気の露点にあわせた製品を多点そろえています。
また、複数個所を測定できるポータブルタイプやハンディータイプのご用意もあります。
さらに、EE23のように温湿度計で測定した温度や湿度から露点温度に換算できる製品もございます。
用途や露点温度に合わせて最適な露点計をテクネ計測がご提案します。