空調
クリーンルームやビル空調での温湿度計、CO2計、風速計
新型コロナウイルス対策としてCO2濃度測定を行い換気の目安としたり、乾燥する冬場は湿度管理を行ったり、室内環境管理が見直されています。
それ以前から温暖化の影響もあり、気温が上昇し空調の必要性も肌で感じられています。仕事中でも、快適な温湿度でなければ効率が落ちることも報告されており、そのような問題に対応するため空調機器もどんどん進化しています。
家庭で使用されるエアコンの性能が上がっており除湿・加湿機能や空気清浄、換気、気流制御機能がついているものもあります。
実はテクネ計測が販売する温湿度計やCO2計がビル空調にも使われていることをご存じでしょうか?もしかしたらあなたのオフィスやあなたがよく行くショッピングモールや大きなビルにもテクネ計測が関わっているかもしれません。
見えないところでCO2計、ダクト挿入型/壁掛型温湿度計、防爆温湿度計、露点計、風速計が活躍しています。
今回はビル空調、美術館やクリーンルームなどでテクネ計測の機器がどのようにお役に立てるのかご紹介いたします。
ビル等の空調設備
不特定多数の人が利用するビルにおいては、利用者が清潔な環境で使用できるように、水・空気・衛生面(掃除や害虫駆除)に関してメンテナンスの項目が決められており、ビル管理法の対象となっています。その中でも、空気について今回は注目していきます。 一般的な住宅と比較してビルの室内空間はとても広く、高層になればなるほど安全上の理由で窓の開閉は難しいため空気の入れ替えが困難であることが多いです。そのため、空調システムが必要になります。ビル管理法では、温度や湿度なども規定されているため冷房・暖房の空調システムで調整しています。
●換気システムによるCO2濃度の調節
室内で私たちが快適に過ごすためには、適切な温度と湿度に加え室内のCO2濃度が特に重要です。ほとんどの空調システムは室内の空気を取り込んでその空気を冷やしたり温めたりして室内に戻すことで快適な温度に調整しているに過ぎません。つまり外気との入れ替えをしておらず、室内の空気の循環のみです。そのため、一般的に使われているエアコンの多くは換気ができません。新鮮な空気が十分に供給されない閉め切った部屋では、CO2濃度はすぐに高くなります。CO2は息を吐くときに発生するため、人が多ければ多いほど、室内の空気中のCO2濃度は早く上昇します。無味無臭のこのガスは、体積比0.1%(1000ppm)の濃度から、私たちの健康状態やパフォーマンス、集中力に悪影響を及ぼします。 多くの場合、換気システムは、室内の空気が蒸れたり使い古されたりして、すでにこの限界値を明らかに超えていると認識されたときにのみ起動されます。なお、新鮮な外気のCO2含有量は約400ppmです。
●換気やCO2濃度に関する取り決め
オフィスや店舗のある建物では、建築基準法で換気設備の設置を義務付けられていて、窓や排気口などの換気設備が備えられています。さらに積極的にCO2 の濃度チェックをすることを国としても勧めています。建築物環境衛生管理基準、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則により、CO2 濃度は1000ppm 以下であることが推奨とされています。
●新型コロナウイルス(COVID-19)- 換気で感染リスク最小化-
コロナの大流行により、室内の換気が重要視されるようになりました。コロナウイルスはエアロゾルを介して拡散する可能性があります。現在の知識に基づいて、専門家は部屋の換気を定期的に行うことを推奨しており、
CO2濃度を測定することで室内の空気の汚れ具合や換気すべきタイミングを知ることを推奨しています。
新鮮な空気の割合が多ければ多いほど、室内のエアロゾル濃度は低くなります。これは、潜在的なウイルス粒子による感染リスクを低減することにもつながります。
しかし急激なCO2濃度計の需要拡大に伴い、粗悪な製品を多く見かけるようになりました。
そのため、経済産業省は2011年11月に「二酸化炭素濃度測定器の選定等に関するガイドライン」を制定しました。
その中では二酸化炭素濃度計の仕様として、以下が推奨されています。
① 検知原理が光学式(NDIR)を用いたものであること
② 補正用の機能が付帯していること
当社が扱うCO2濃度計の測定原理は二波長非分散形赤外線方式(NDIR)で、高い耐汚染性が利点です。自動校正機能により、CO2センサーは長期間安定した正確な測定結果を提供します。
もちろん、経済産業省のガイドラインの条件を満たしております。室内の構造上の問題やコスト面から換気システムを導入できない場合は、簡易設置型のCO2計を使用するのが賢明です。
●CO2センサーを用いたデマンド制御型室内換気システム
換気システムも年々進化しています。低エネルギー住宅のような現代的な建物の換気システムに最先端技術が使われています。 エネルギー効率とコスト効率を高めるためには、室内の空気中のCO2濃度を正確かつ確実に監視するCO2センサーが必要です。 測定したCO2値に基づいて、必要な空気の供給量を調整することができます。 ビルの換気システムが一定量の空気を流すのに対し、CO2センサーで制御された換気システムは、実際に必要な量の新鮮な空気を室内に供給します。 これにより、過剰な換気による熱損失が抑えられ、無駄な暖房費を節約することができます。 また、換気扇の回転数を制御することで、換気システムの消費電力を大幅に削減することができます。
●風速・換気風量
快適な室内の環境を維持するために、まずは空調のシステムやダクト内の吸気口の風速等を知る事も重要です。 風速測定でよく問題になるのは測定中にセンサー部に付着する塵や埃によって測定値の誤差が大きくなり、いずれ故障してしまう現象です。 しかし、テクネ計測の風速計のVTQのセンサーは、周囲の風の流れを検知し、塵などがセンサーに直接触れないようにし測定できます。 これにより、継続的に安定した測定が可能になっております。VTQセンサーは、熱式の風速計で、風を受けることでセンサーから奪われる熱量を抵抗値の変化量と感知して、その変化量を風速に換算しています。 小型で応答が早く、微風速領域で精度がよいのが特徴です。
データセンター
データセンターとは、IT機器(ネットワーク機器やサーバなど)を物理的に保管・運用する施設・建物・部屋です。
最近は、IT化が進んでおりデータセンターの建築ラッシュが始まっております。
データセンター内では、精密機器が多い為、温度と湿度の管理が重要になります。
アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)のガイドラインによれば、
推奨温度が18〜27℃、推奨相対湿度が≦60%RH(露点5.5~15℃dp)
となっております。
湿度に関しては、湿度が低いと静電気が、湿度が高いと結露が発生しやすくなるためです。
各ラックからの放熱による温度上昇を管理するために温度計が必要となる場合があり、テクネ計測では吊り下げて使用できるプローブタイプの
HTP201という製品があります。
他にも温湿度計では、プローブタイプの廉価版のEE060やポータブルタイプのTEKHNE Port、ダクト挿入型/設置型のEE210。
風速計では、プローブタイプのEE671、ダクト挿入型/設置型EE650が使用されます。
クリーンルーム
クリーンルームとは、粉塵、浮遊微生物、エアロゾル粒子、化学蒸気などの環境汚染物質が少ない環境のことです。 半導体や医薬品などの製造業や科学研究において、粉塵などこのような異物を嫌う用途で部屋ごとクリーンな状態にするものです。 より正確には、1立方メートルあたりの粒子数で指定される汚染レベルを管理することで、クリーンルームを実現します。
美術館等の展示品の保存
エネルギーコストを最適化しつつ快適な室内環境を実現するためには、温度・湿度・低いCO2量が重要な要素となります。 美術館や博物館などにおける環境測定と調整は、人の快適性の要素として重要なだけではなく、展示物の保存にも重要な役割を果たします。
●来館者に対する空調の重要性
来館者が快適に滞在するためには、展示空間の快適な温度と湿度、そして低いCO2濃度を確保することが重要です。 来館者の有無にかかわらず、美術館の室内環境は完璧でなければなりません。室内温度センサーによる効率的な空調制御は、室内の雰囲気を最適に保つだけでなく、ランニングコストの低減にもつながります。施設の空調管理は、美術館運営者にとって大きなコスト要因になるため、可能な限り効率的に管理する必要があります。 来館者が多い場合は、展示空間のCO2濃度を低く保つために十分な換気が必要です。 一方、来館者が少なく、開館時間外であれば、館内のCO2濃度が低くなるため、換気の必要性は低くなります。
●展示物に対する空調の必要性
貴重な絵画や彫刻などの展示品や美術品を保護するために、美術館では室内の温度や湿度を一定に保つ必要があります。
そのためには、換気量を減らしても一定の空気循環が必要です。
必要最小限の換気量に調節し、コストを削減するためには、室内雰囲気の綿密なモニタリングが欠かせません。
展示室や倉庫に室内温度センサーを、換気ダクトに風量センサーを使用することで、室内の雰囲気を正確かつ効率的にコントロールすることができます。
上記の必要性に対して、テクネ計測では以下のソリューションを提供しています。
・CO2、湿度、温度などの室内環境センサー
室内気候センサーに求められるのは、何よりも正確で信頼性の高い測定と、室内雰囲気の変化への素早い対応です。
特に美術館・博物館においては、センサーを周囲の環境に目立たせず、柔軟に溶け込ませることができることも重要です。
湿度・温度センサーから、CO2・湿度・温度を複合的に測定するセンサーまで、さまざまな気候モニタリングセンサーをご用意しています(オプションでディスプレイ付き・なし)。
・換気制御用の気流センサー(エアフローセンサー)
エアフローセンサーは、換気ダクト内の気流を監視・制御するために使用されます。
センサーを選択する際には、汚染された環境下でも長期にわたって信頼性の高い安定した動作が保証されるようなセンサーを選ぶことが大切です。
当社が取り扱う製品は、ダクト挿入型またはリモートプローブ型を選択可能なため、センサーの取り付けとメンテナンスが容易になります。
・柔軟な設置と導入コスト削減にワイヤレスシステム
ワイヤレスセンサーシステムは、複雑な環境モニタリング業務や有線では設置できない空間条件に最適です。
特に大規模な施設では、ケーブル配線が総コストに占める割合が高くなります。
ワイヤレスセンサーを使用することで、ここでもコストを削減することができます。
さらに、ワイヤレスセンサーは室内にフレキシブルに配置することができます。
最後に、空調にテクネ計測が貢献できることのまとめ
以上のように、テクネ計測では、特に厳しい条件下で使用するために設計された湿度、温度、CO2センサー、風速計を提供できます。 テクネ計測の露点計や酸素濃度計をはじめとする各種計測機器は、空調業界に多数の実績があり、様々な重要な場面でお役に立てているのではないかと考えます。