測定系を構築しよう
流体制御機器の
選定

サンプルガス中の水分量や酸素濃度等を正確に計測するにはサンプリング機器の選定が非常に重要になります。以下の点への検討を行い、適切な機器を選定して下さい。
1. ゴミ(固体中異物)、ミスト等の異物除去、結露対策などの前処理
2. 圧力・流量コントロール
3. 温度コントロール
1 前処理
主に使用する機器類は以下です。その他にも各種前処理設備を用意しています。
前処理設備 | ゴミ対策 | ミスト対策 | 結露対策 |
---|---|---|---|
1 フィルター | ○ | ○ | △ |
2 2段フィルター | ◎ | ○ | △ |
3 ドレインポット | × | ○ | ○ |
4 デミスター | × | ◎ | ◎ |
1)フィルター
当社では、半導体クリーン環境等を除き、測定器の前にはフィルターの設置を推奨しています。ゴミやミストが無いと思われる気体内でも、僅かでもこれらが存在し、長期的に測定器に悪影響を及ぼす場合があります。当社では0.01μから捕集できるマイクラフィルターの豊富なラインナップをそろえており、在庫を持ち即納出来る体制を整えています。

選定要領(流量20L/分以下の場合)
マイクラフィルターにはさまざまな種類があります。以下の要領により、選定ください。

2)2段フィルター
フィルターを2段にする事により、より確実にゴミやミストを処理します。前段には後段よりも補修径が粗く、大型のフィルターを使用することを推奨します。また、特定のガス除去のためにも2段フィルターが有効です。
3)ドレインポット
高温のサンプルガスを測定器の仕様温度内に下げる必要がある場合、結露やミスト、溶剤気体などの液化により測定器に悪影響を及ぼす液体が発生する場合があります。この場合、ドレンポットの設置が有効です。ドレインポット及びその一次側の配管により、サンプルガス温が測定器と同一となれば、理論上ドレインポット二次側ではそれ以上の結露が起こらないことになります。
※ドレインポット内に水を十分に満たせば、バブラーとしても使用でき、ゴミが多い場合の対策に有効です。
機器の温度が明らかにドレインポットの温度よりも低い事が想定される場合や、更なる安全対策が必要な場合、ドレインポット前に電子冷却器を置き、より確実な除去を行ってください。

4)デミスター
冷却水でサンプルガス経路の周りを冷却することにより、ドレインポットより低温の状態にする事が出来、より確実な安全対策となります。

2 圧力・流量コントロール
計測器に対して、仕様範囲内の適切な流量を流す必要があります。その為に流量のコントロール、そして流量に直接影響を及ぼす圧力のコントロールは不可欠です。もう一つ重要な事は、測定値は圧力に影響されることが多いので、
1)正圧の場合
圧力が測定点での気体圧力/流量に対し高い場合以下の何れかを行う必要があります。
- レギュレーターによる調整
- 圧力が大幅に高い場合(例:大気圧の測定に対して1MPa以上)、レギュレーターにて圧力を落とすことを推奨します。
- ニードル弁による調整
- 上記程圧力が高くない場合(例、通常のコンプレッサーで0.7MPa程度の場合)、ニードル弁にて流量調整をすれば十分です。

2)負圧の場合
負圧の場合、加圧する為にポンプやイジェクターなどにより昇圧を行う必要があります。一般的にはダイアフラムポンプが使用されます。ダイヤフラムとは膜のことであり、膜と2つの弁で構成されています。ダイヤフラムが収縮運動をすると体積が変化し、吸引・吐き出しを行う仕組です。
ポンプの選定は以下により行います。
① 使用する圧力、流量範囲
② 接ガス部の材質:FKM, EPDM, NBR等
③ 計測器前段の場合、ポンプからのリークのレベル
※当社ではイワキ様製のポンプの標準在庫があります。即納出来ますのでご相談ください。

3 流量計について
一般的に簡易型の面積式(フロート式)流量計が使用されます。 流量計の設置は、リークの原因となる可能性を避ける為、出来る限り測定器2次側にする事を推奨しています。流量計の選定は、以下の条件を考慮する必要があります。
1)使用する流量範囲
2)ガスの種類:Air/N2等
3)流量精度
※当社では自社製の高精度面積式流量計の標準在庫があります。
即納出来ますのでご相談ください。

4 温度コントロール
温度コントロールは様々な内容があるため、細かい話は今度‘もいすけ’からしてもらいます。
もいすちゅーの水分講座
- 水について考える
- 計測器について
- 校正について
- 測定系を構築しよう
- 規格について